歌詞貼り
自分にとっては久しぶりの歌詞貼りであり、このブログでは初めての歌詞貼りである。「怠惰」と罵る勿れ。歌にこそ「本当のこと」が宿るのだから。
なお、英詞の場合は対訳を参考にする場合もあるが、だいたいは俺の意訳である。故に恣意的にならざるを得ないが、大意を外すつもりはない。正確な意味を知りたいならば自身で辞書を引くがよろしい。知への渇望もまた人の本性だ。
The Ivy / the HIATUS
作詞:Takeshi Hosomi
作曲:the HIATUS
Keep holding on
持ちこたえて
You said to me
君はそう言った
I'll breath out all my sin
僕は僕自身の罪を全て吐き出す
Redeem all ignorance
あらゆる無知の救済
Apprentice disqualified
学ぶ資格を奪われた初心者
Percentile of relevance
関連性の百分率
You see the lightning strike the ground
君は雷が落ちるのを見て
And hear the storm roll down the hill
嵐が丘を吹き荒ぶのを聞いている
You touch the wall of the fortress
要塞の壁に触れると
And smile like it's nothing to fear
君は怖いものなど何もないかのように微笑む
You take my breath away
君は呼吸を忘れさせるほど美しく
My eyes are narrowed from the glare
僕はその眩さに目を細めた
And you take my pain away
君は僕の痛みを取り去ってくれる
Right at the moment of truth
真なるその瞬間の正しさ、それが<ここ>にはある
Keep holding on
まだ耐えていて
You said to me
君はそう言う
I'll breath out all my sin
僕はあらゆる罪を吐き出すんだ
You heard me
君は僕の声に耳を傾けたり
Ignored me
時には無視したり
You write it down and forget
書き留めては忘れたりする
Those are all your good memories
それら全てが良い思い出なんだ
You see the night is coming down
夜がやって来ると
And hear the stars will sing for us
星たちの歌声を君は聞いている
You touch the ivy on the wall
君は壁に絡んだ蔦に触れる
And smile like you'd never come back
そう、まるで二度と戻ってこないような微笑みを浮かべながら
You take my breath away
君は息を呑むほど美しいんだ
My eyes are narrowed from the glare
その輝きに僕はつい耐えられなくなる
And you take my pain away
君が僕の苦痛を消し去ってくれる
Right at the time of truth
本当の時間、その正しさ。それは<ここ>にしかないんだ
There's not much to say
もはや言葉はほとんど用をなさない
She's saving the world inside my head
彼女は世界を救っているんだ、僕の頭の中で
Hello to everyone
みんなは元気かい?
She's saving today inside my head
彼女が今日も救ってくれているから、僕は元気さ。もちろん、僕の頭の中でだけの話だけれどね
……後半に行くにつれ「もう意訳ちゃうやんけ」という声が、まさに「僕の頭の中」に聞こえてきそうだ。でもまぁええんや。この曲を聴いて、俺はこの歌詞をこのように解釈した。そういうこっちゃ。
しかし和訳とは難しいな。特に “I'll breath out all my sin"の訳には悩まされる。これはほぼ逐語訳が最善だとは思うけれども、それでは英詞の時のニュアンスが削ぎ落とされてしまうような気がする。“sin" という単語それ自体が重たい意味を持っているにもかかわらず、それに対応する「罪」が多義的であり、またそれゆえに漠然とした意味を持つせいかな、と思う。
ここでいう “sin" には宗教的な意味はおそらくほぼないだろう。「罪」というより「自分自身に対する負い目」という方が適切にも思える。
曲の主人公(彼)が持つ、「彼女」に対する罪の意識・負い目、それらに由来する自責の念がこの曲の妙味である。彼の内部における激情と諦念、静と動が見事に表現された珠玉の一曲。ぜひご視聴あれ。
おわり